肉のトラウマ
小さい頃、小さなニワトリ「チャボ」を飼っていた。鑑賞用の綺麗なニワトリで、毎日小さな卵を一つずつ産んだ。
私はそのつがいのチャボを、いつも追い掛け回したり、高い所から飛ばしたりして、とても可愛がっていた。
秋が深まる頃、霧島温泉郷へ家族旅行に出掛けた。霧島は当時から地元の食材を温泉の蒸気で蒸す、蒸し料理が有名だった。
大浴場でしこたま遊んだ後、食事会場に足を運んだ。美味しそうな料理が沢山並んでいる。
よく見ると鶏の丸蒸しが、ここにも、あそこにも、至るところに置いてあるではないか。いつも遊んでいるコッコちゃんが無惨な姿に…ひどい、ひど過ぎる!
私はショックで固まってしまった。
その後のことはよく覚えていないが、旅行から帰って以来、一切の肉を食べなくなってしまったそうだ。
PXより
大人になるにつれ少しは克服し、ハンバーグやキーマカレー等のミンチ系は食べられるようになった。でも調子の悪い時は、色々想像してしまってダメだ。対外的には、セミベジタリアンって言って誤魔化している。
これは小物製作をしている友達が、還暦のお祝いに着物の生地で作ってくれたコッコちゃん。酉年で鳥好きな私は、とても嬉しくて大切にしている。