バレンタインの思い出
母を亡くして、なかなか立ち直れずにいた時に、出会ったのが彼だった。
ホテルのシェフをしていた彼は、無類の車好き。いつも、アップグレードしまくった派手な車でやって来て、「今から長崎に皿うどん食べに行かない?」なんて、言うような人だった。
彼には振り回されてばかりだったけど、二人でいろんな所に出掛けて、いろんなものを食べて、子供のようにゲラゲラ笑って過ごした。
意外にも、チョコレートが大好きだった。
毎年バレンタインが近づくと、デパートの特設売り場に出掛けて、あれこれ悩んで、彼の為の一箱を選んだ。
「チョコ、食べた?」って聞くと、「うん、毎日1個ずつ食べてる」って言って、ニッと笑った。太陽みたいなひとだった。
もう、手の届かない所にいってしまったけれど、今もバレンタインが近づくと、デパートに行って、あれこれ悩んでチョコを買う。
そして、毎日2個ずつ食べている。
フラワーバスケット
スプレーバラ、カーネーション、ライスフラワー、ビバーナム。