厨房の最強キャラクター
朝の厨房が好きだ。
全てが整えられた清潔な室内、かすかに消毒液のにおい、真っ白いコック服。
一つ深呼吸して、一日の仕事が始まる。
またここに帰って来てしまった。
そして、また帰って来れたことが嬉しい。
総合病院で仕事を始めて一週間たった。
4時間のパートとはいえ、厨房に入った瞬間から、温冷配膳車15台を送り出すまで、緊張の連続だ。いつも時間との戦いで、ミスは許されない。
意外だったのは、男性5名を含む15名の調理員を束ねるのが、50歳代の女性だったことだ。かなり個性的なキャラクターで、背が高くガッシリしていて、いかにもボスという感じ。
「そんなにモタモタしてたら間に合わないでしょう! ここ入れ間違ってる、しっかり食札を見なさい! こんな盛り付けじゃ出せない、やり直し!」
いつも何処かで誰かが叱られている。
「あんな感じだから、今まで何人も辞めちゃったの。根はいい人だから、気にしないで頑張ってね」と先輩から優しい言葉。
私は今までが酷すぎたので、何を言われても全然へっちゃらだけど。
かえって、全てを把握して的確な指示を出し、率先して動き回り、バリバリ仕事の出来る主任を凄いと思う。2週間は彼女が付いて仕事を教えてくれるので、叱られながらも、ちょっとワクワクしている。
帰って来てお昼を食べて、こたつに入ったら、いつの間にかウトウト…しばらくはこんな日々が続きそうだ。
午前中で仕事が終わるので、ゆっくり買い物したり、夕食を作ったり出来るのが嬉しい。
今夜のひとりごはんは、魚のホイル焼き、春雨サラダ、ひじきの五目煮、マーマレードヨーグルト。
夜はなるべく糖質を取らないよう、たんぱく質と野菜中心のメニューにしている。